庭付き一戸建てに父、母、姉(4歳上)、私の4人で暮らし庭にはリトルという犬を飼っていました。
母と父の離婚が成立したのは私が7歳の時。しかし私が3歳の時から家庭は壊れていました。
父という人物
父は曾祖父から続く宮大工の3人目の子供として生まれました。
幼い時の話などは聞いたことありませんが、若いころはかなりのやんちゃ坊主だったらしいと祖父が話していました。
高校を卒業するととび職として祖父の下で働き始めたそうです。
父と母の出会いは父がとび職の仕事について4年目。飲み会へ行く途中駅前で友達を待っている母をナンパしたらしいです。
母は若いころとても綺麗で小さいときはモデルの仕事もしていたらしく、そんな母とは違い父はお世辞にもイケメンとは言えない顔だちをしていました。
そんな父が母のナンパに成功したのは母がお嬢様で世間知らずだったからとしか思えません。
そして付き合うようになりしばらくして父が23歳の時母が姉を妊娠し結婚しました。
そう、いわゆるできちゃった婚というやつです（今は授かり婚ともいいますよね）。
23歳が若いといってもしっかりと責任を果たせる能力がある年齢です。
ですが父は姉が生まれた後仕事のお金は自分の飲み代に使い、姉が泣けば「うるさい！！」と怒鳴りつけるような人物だったらしいです。
そんな父も母が二人目を妊娠しているとわかると少し真面目に仕事に行くようになったと母が話していました。
母はその話をする時必ず｢パパにも頑張ろうとした時があったのよ｣と少し悲しげに話し、私も少し悲しい気持ちになったのを覚えています。
真面目に働くようになった父は祖父から「自分の家を持て！」と言われ、家を建てました。
私が生まれてからの父
家が建つか建たないかぐらいの時期に私が産まれました。
父が出て行ったのは私が3歳の時。
その為母と婚姻関係を結んでいた時の父の記憶は殆どありません。
唯一父の良い記憶といえば、家族4人で出かけていて母が疲れた時に父が「大丈夫？休むか？」と声をかけると母が嬉しそうに「ありがとう」と笑顔になったことと、釣りをしていた時に姉が川に落ちてしまいそれを一目散に助けに行く父の姿です。
それ以外は怒鳴っている姿しか覚えていないし、私に話しかけている父の記憶は何一つありません 。
嫌な記憶は残るもので父の酷い姿は今でもすぐに思い出せます。
父が飲んで帰ってきて嘔吐したときに吐物に血が混じっていたらしく「血吐いた～、救急車呼んでくれ～」と言いながら廊下に横たわっている姿ははっきりと覚えています。
父に高い高いされてる写真を見ると遊んだりしていてくれたのはわかっていますが、記憶にないのでこの時点で私の中ではほぼ赤の他人のような感覚です。
父が出ていくとき「お前らなんてもうしらねー！」そう言い放ちました。
父が玄関のドアを勢い良く閉め出て行った後母は私たちに「これでよかったよね？」と聞いたのを映像でしっかりと記憶しています。
その時は「ママが泣かないのが1番いいのになんで私達に聞くの？」と思ったのを覚えています。
それから何年も父とは会っていませんでしたが、6歳の時何がきっかけだったかはわかりませんが父にあいました。
父と会った場所はスナックで。そこのスナックのおばちゃんがりんごを剥いてくれてそれが美味しかったけど父はずっとへらへらしていてそれが何故かすごく不快で早く家に帰りたかったです。
そこからしばらくして小学校の入学式がありました。
私と姉はまだ父方の祖母の家で暮らしていたため小学校入学の時は父が来ました。
友達のお父さんやお母さんはスーツや着物を着ていましたが、そんな中父は緑色と赤のクリスマスカラーのセーターを着て来てもう最悪です。
こんなにも恥ずかしかったのはこの時以外にないんではないかという程恥ずかしかったです。
もう一つの記憶として私の8歳の誕生日に父がスーパーファミコンとドンキーコングを買って祖父の家に持ってきてくれました。
記憶にある中で父に誕生日プレゼントをもらったのはこれが最初で最後です。
それからまた父とは会うことなく母と暮らし始めることになり父方の親族には全く会わなくなりました。
（父方の祖父母との関係はまた体験談としてブログにしていきたいと思っています。）
再会した父
中学校1年の時母と父が連絡を取り合い4人で会うことになりました。
私は正直嬉しかったです。
大きくなればなるほど普通の家庭には両親が揃っていることを目の当たりにしてきて、自分の家庭はその当たり前が当たり前ではなく「お父さんが欲しい」という気持ちを大きくするには十分でした。
そんな気持ちが大きくなっていた時、家族4人揃って会えたのだから嬉しくないはずがありません。
ところが父と対面すると左腕がありませんでした。
母と父が連絡を取り合ったのはこれが理由だろうと思いました。
父曰く車の事故で左腕をなくすことになったらしく、左腕がない父に戸惑いつつも久しぶりに会えたこと、4人で食事できたことそれはとても嬉しいことでした。
食事の際話したこと、どんなご飯を食べたか今となっては覚えていませんが私にとって至福の時間だったのは確かです。
その食事を機に父とこまめに連絡を取り合いました。
少しすると連絡を取りやすいようにと父が携帯電話を買ってくれ、クラスで携帯電話を持っているのは私ともう一人しかいなかったので何だか得意気な気持ちになりました。
ありがとう父。
大人になってから母に聞きましたが携帯料金も父が払ってくれていたそうです。
母が私たちを身を粉にして育て上げてくれたのには到底及びませんが、僅かばかりでも私のために何かをしてくれてありがとうという気持ちになりました。
高校1年の時再び家族4人で食事しました。
その食事をした理由は母が父にお金を借りるためでした。
しかも父にお金を借りたい理由を「お金がないから借りる」ではなく「私がバイクを乗るようになるからバイクを買ってあげるため」だったそうで話を合わせるのが大変でした。
何せ私が免許を取ったのは23歳の時。
バイクの免許の勉強なんかしてないし、父に聞かれても答えられず父もなんとなく察したようで「お前達が少しでも楽に暮らせるなら」と言いました。
その時はホッとしたが今私自身母になって思うと「それだけの支援で偉そうにするんじゃねえ！」です。
まあそれでもその時の母にとっては大事なお金だったのでこの気持ちは心にしまっておきます。
母への思いはまた改めて・・。笑
4歳上の姉にとっての父
私は自分自身が大きくなってからの父の記憶しかありませんが、姉は小さかった時の父のことも鮮明に覚えているため小さい頃の話はよく姉から聞きました。
姉にとっての父のイメージは「だらしないところもあるし、尊敬はもちろんできないけど私たちにとても優しかった」だそうです。
私は父が出ていくとき母が泣かなくて済むと安心しましたが、姉は父が出て行ってしまうことがとても悲しかったと話していました。
家族4人で食事をするようになって一番喜んでいたのは姉かもしれないと話を聞きながらそう思いました。
姉は19歳の時にできちゃった結婚をしその1年後に離婚をしているんですが、その時父は姉にこうアドバイスしたそうです。
「まだ二人とも若いから感情的にもないりやすいと思う。特に男は言葉足らず。今きっと後悔しているはず。男ってのはたとえ大事だとわかっていても感情的にものを言い傷つけそのずっと後で後悔するんだ」と少し悲しそうに話していたんだそうです。
それを聞いて姉は、父も出て行ったこと後悔しているのだろうと感じたと話していました。
姉は夫に暴力を受けたため父のアドバイスが役に立った訳ではありませんが、私と姉のモヤモヤを晴らしてはくれたのは確かです。
そのモヤモヤというのも「娘と離れて暮らして何も思わなかったのか、私達のことは愛していなかったのか」この2つです。
もしかしたら父はそんなこと思わずに姉にアドバイスをしていたのかもしれないが、それは私達にはどうでもよく父は私たちを「愛していてくれたんだ」と少しでも思わせてくれたその言葉がとても心に残り嬉しかったのです。
姉は離婚後父と暮らすといい3年ほど父、姉、姪の3人で暮らしていました。
再び一緒に暮らすなかで姉は「母は離婚してよかった。」と私にこぼすこともありましたが、なんだかんだ言って幸せそうでした。
母になって父に思うこと
私には5歳になる娘がいます。
とても愛おしく私たち夫婦の宝物です。
娘には私のように寂しい思いをしてほしくないと心から思っています。
夫曰く「こんだけ愛情かけて育てているんだから娘もわかってるよ。大丈夫。」だそうです。
きっと父も私たち夫婦と同じように姉と私のことを思っていてくれたのかな…と想像すると少しむず痒いような気もするがそう思って生きていくほうが心が温かくなるし、直接聞くことは私には難しいのでそう思っておくことにしています。
ただ娘を持って父に言いたいのは「子育てにはお金がかかる！」です。
もちろん子育ての試練はお金だけではありませんが、母親1人で2人を育て上げるには相当な労力と金銭面での不安が常にあったと思います。
私自身お金には苦労したなという気持ちでいますが、母子家庭で2人の子供を育てることを考えると本当に心が痛くなります。
だからこそ「養育費はちゃんと払って！」と言いたい。
母は養育費もなく女手一つで私と姉を育ててくれて本当に感謝していますし、だからこそ私は父を心から許せる日というのは来ないのではないかとも思います。
まとめ
私にとっての父は幼い時の記憶がないので遺伝子上の父や知り合いのおじさんと思うこともありますが、大きくなってからの関りがあったからこそ心の奥底で拠り所になっていたと思います。
そしていい反面教師になっているとも思います。
- 賭け事はしない
- お酒におぼれない
- 仕事は真面目にする
- 家族を第一に考える
- お金だけに囚われない
- TPOをわきまえた服装をする
これは生きていく上で大事なことだと思うので、だらしがなかった父にありがとうと言いたいです。
今は遠くに住んでいる父に会うことはありませんが、先日パパ（夫）に電話しようと思った時に間違えてパパ（父）に電話してしまい少しだけ話しました。
再婚した奥さんとも仲良くしていて元気そうにしていたのでよかったです。
そして急に電話をもらって嬉しそうな父でした。
